株式会社日本陶業

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No.55 「横浜銀行川崎ビル」
ファサードのソーラーチムニーをコーポレートカラーの特注タイルで彩る

◆JR川崎駅の北口から川崎市役所へ向かう市役所通り界隈は、活気のある商店街と共に様々な銀行が軒を連ねる一画でもあります。2021年2月、この市役所通りの新たなランドマークとなる「横浜銀行川崎ビル」が新築オープンしました。横浜銀行川崎支店は、前身の一つである七十四銀行の店舗を継承して大正9(西暦1920)年に営業をスタートした由緒ある店舗であり、当ビルはその歴史に因んだ敷地での建替えとなりました。
◆横浜銀行川崎ビルでは、同行のコーポレートカラーである「青」の釉薬を施した特注タイルが採用されましたが、技術的なポイントとなったのがタイルの施工方法です。鉄骨造の建物は、地震などの水平荷重に対し、建物全体が変形することで追従します。モルタルや接着剤で施工する従来の工法では、この建物の変形がタイル剥落の原因となる場合がありますが、ニューカーニバル工法はタイルとレールとを嵌合させて確実に固定するため、タイル下地面に大きな変形が生じても剥落のおそれはありません。特に当ビルでは形状・色がいずれもオリジナルのタイルを使用するため、タイルが鋼製下地の挙動・変形に追従できるのか、数種類のモックアップを作成して入念に検証しました。
◆この青い特注タイルは建物正面の「ソーラーチムニー」の壁面に施工されました。ソーラーチムニーとは、この建物で採用された自然換気システムの中心となるもので、太陽光により暖められた空気をチムニーで上昇させることで、各フロアの換気を促進させることが目的の施設となります。明るさを変えて5色焼成されたタイルは、上層部に行くにしたがってグラデーションで次第に明るくなるようにレイアウトされました。このグラデーション配列はアトランダムに見えますが、実は特殊なプログラミングによって決められた配色の割付指示にしたがって施工しています。
◆横浜銀行川崎ビルのソーラーチムニーは、ファサードを特徴づけるアクセントとなりました。夜にはライトアップされ、輝く青い壁となって市役所通りを彩っています。また、外来のお客様が利用する1~4階の営業室の内装タイルも、剥落安全性を考慮してニューカーニバル工法で施工されました。こちらのタイルも当ビルのために新たに設計された特殊スジ面形状で、表面にはソーラーチムニー部分と同じ釉薬が施されています。

タテ胴縁とレール(下地はECP) タテ胴縁とレール(下地はECP)
タイルの取付け タイルの取付け
ソーラーチムニー壁面 ソーラーチムニー壁面
ソーラーチムニー外観 ソーラーチムニー外観
タイル近影 タイル近影
タイル表面 タイル表面
建物ファサード 建物ファサード
夜間のライトアップ 夜間のライトアップ
営業室・内装壁の特注タイル 営業室・内装壁の特注タイル
タイルとカーニバルレールの嵌合状況 タイルとカーニバルレールの嵌合状況
出隅部分 接着役物で施工 出隅部分 接着役物で施工
鋼製建具にも施工可能 鋼製建具にも施工可能
建物概要
  • 施 主:株式会社横浜銀行
  • 設 計:株式会社三菱地所設計
  • 施 工:清水建設株式会社
  • 構 造:鉄骨造 地上10階・地下2階
  • 開 館:2021年2月
  • タイル工事:株式会社日本陶業
  • 使用タイル:織部製陶株式会社 特注タイル
  • ・ソーラーチムニー部 100mmx285mm 厚み20mm スクラッチ面
  • ・営業室室内 230mmx60mm 厚み20mm 特注スジ面
  • 職 長:佐藤茂(藤佐タイル)
  • 工事担当:佐々木英知